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"歴史痛"の看板に偽りなし?戦国トリビアシリーズ【第十五夜】

JUGEMテーマ:コラム
 

戦国与太噺。導入部、となぜ素直に命名出来ない。(画像は斬?スピリッツより)


■五月十五日のトリビア

 『天下無双の傾き者』として名高い前田次。
 漫画や小説などでその活躍が知られるが、実は
        織田信長や豊臣秀吉より歳上である。  



■天下御免の大傾き、今日の戦国武将人気の先駆けとなった男の

 前田(まえだけいじ)と言えば、二十代後半から三十代にかけての戦国歴史Fanであれば間違いなく御覧になったであろう、隆慶一郎氏原作の小説を漫画化した『花の慶次~雲のかなたに~』の主人公。


 叔父・前田利家を真冬に屋敷へ呼び出し、湯加減良好と偽って氷風呂に入れた話や、天下人・豊臣秀吉を向うに回してもその傾き者魂と誇りを曲げることがなく、戦場では悪鬼羅刹の様に奮闘し得意にしてトレードマークであった朱槍を振り回せば足軽どもは木っ端微塵、愛馬『松風』に跨って挙げた武勲は数知れず。

 …そして織田信長や秀吉、直江兼続や石田三成といった天下になだたる名将達と交流を持ち、関ヶ原の合戦では上杉景勝に従って出羽長谷堂城(はせどうじょう)攻めに参加。


 上杉軍が所属していた西軍本体が関ヶ原で敗北した際にはその古今無双たる武勲の総仕上げ、引き受けたが最後生き延びることは至難とされる殿軍(しんがり。味方の軍勢が敗北・退却する際にその最後尾の備えを受け持ち、追撃してくる敵軍を食い止める役。非常に身の処し方が難しく、これを無事こなせることは一流戦国武将の証でもあります)を担当。

 勝ちの上げ潮に乗って猛追撃を仕掛けてくる最上義光の軍勢相手に阿修羅の如き働きを成し、天下の名宰相と謳われた無二の友・直江兼続の命を救う傾き者の面目躍如たる大殊勲を納めることになった…というのが、その生涯のあらましなのですが…。


 実はその胸がすくような大活躍や今日の戦国歴史Fanからの人気とは裏腹に、彼の生涯についてははっきり判っていません。

 まず、父親が誰か不詳。

 漫画『花の慶次』では織田信長に仕えた武将・滝川一益(たきがわかずます)の従兄弟・益氏(ますうじ)とされていますがこれもはっきりせず、その生まれた年も諸説あり、一番若い場合は1544年(天文十三年)生まれだとされています。

 徳川家康が1543年(天文十二年)生まれですので、漫画では初登場時から既に白髪、今は亡き名優・勝新太郎そっくりの偉容で登場した彼とはたった一歳しか年齢差がなかったことになるのですが…漫画に突っ込みを入れるのは野暮というものですので。


 あと、(いみな。実名のこと)も漫画で使われた利益(とします)のほかに利大(としひろ、としおき?)とも利貞(としさだ)利卓(としたか)と色々な説があり、はっきりしません。

 何せ戦国武将というより『戦国武士』と名乗った方がしっくりくる人で、奇矯な振る舞いが多いからこそ傾き者と呼ばれたのであり、真面目に領地を治めたり大人しく合戦の指揮官をやる人ではなかったようなので、その人物像が朧げなのも彼が『傾き者なお陰でまともな実績が残っていないから』なのが原因と考えられます。
 ( ・(,,ェ)・)。oO( 豊臣家五大老・前田利家の義理の甥なんですから、普通に戦国武将やってれば万石単位の大名になれたはずなんですがね。)


 しかし、彼には漫画での『捨丸』ではありませんが、野崎知通(のざきともみち)という従者が常にその後ろに従っていたといい、彼は『前田次殿伝』という書籍を残しているので、信憑性が高いとすればいちばん慶次とつきあいが長かった彼の記録を重視するべきでしょう。


 その彼の記録には、慶次の生涯の最後のことも当然書かれています。

 現在、前田慶次の墓があり最後の地となったのは上杉家が転封された出羽国米沢城、現在の山形県米沢市とされ同地には彼の墓やゆかりの地、隠遁して暮らしたという『無苦庵』があるのですが、知通の『前田慶次殿伝』によれば、彼が最後を迎えたのは大和国の当麻寺(現奈良県葛城市)とされています。

 漫画では敬愛する上杉景勝や直江兼続と一緒に米沢で生涯を過ごしたとされ、1611年(慶長十六年)まで生きたと最後に書かれていますが、野崎知通が云うには慶次が死んだのは1605年(慶長十年)のこと。


 年、七十三歳だったそうです。



 はい、勘の良い方は直ぐに引き算が頭の中で始まっていますね?


 前夜にも書きましたが当時の年齢は数え年方式、0歳がなく1歳から始まるので満年齢では享年七十二、引き算をするならそれを踏まえて1605から72を引かねばなりません。


 簡単な計算ですね。前田慶次がまれたのは1533年(天文二年)ということになります。

 生年には諸説あるとさっきも書きましたが、長年にわたって付き従ったとされる野崎知通が彼の生年や没年を記憶違いしたり数え間違えることはないと思われますので、もっとも信頼のおける数字ということになります。1533年といえば織田信長の敵として畿内の覇権を争った越前の戦国大名・朝倉義景や毛利元就の三男・小早川隆景と同い年ということになりますが――…

 …――しかし、ここで赤髭が言って置きたいのは、織田信長の生まれた年は1534(天文三年)だということです。秀吉は信長よりまだ年下ですのでいわずもがなですが…つまりは。


 漫画では終生若々しい巨漢の武士として描かれた慶次郎、あんな顔して信長や秀吉より上だったという計算になります。



 さらにこの生年から逆算すれば、慶次最後の大活躍である関ヶ原の合戦が起きた1600年
(慶長五年)には既に67、いや六十八歳だった勘定になってしまいます。

 念のため確認しておきますが戦国時代は人生五十年の時代、武田信玄が力尽きたのは53歳、上杉謙信が夢半ばにして倒れたのは49歳のときのことです。



 
戦国武将達のさまざまなエピソードを集めた、信頼性もなかなかに高い上質の史料とされる『常山紀談(じょうざんきだん)によれば、直江兼続の麾下のもとで働いていた慶次は、『装の老人』…厳密に言えば

『黒い物具(もののぐ、鎧兜のこと)に猩々緋(しょうじょうひ、鮮やかな赤色)の陣羽織、金の瓢箪つきの数珠を襟にかけ、山伏の頭巾を被り朱柄の長槍を持っていた』、超がつくベテランの国武士だったのです。


 ちなみに長谷堂城の合戦では、直江軍が総崩れになりかけて激怒した兼続に対し、この六十八歳の傾き者は『ここは我にお任せあれ!!』と言うが早いか、火縄銃の弾丸が飛び交う殿軍の戦場で大暴れ。無事に上杉軍の退却を見届けています。



 事実は小説より奇なり。

 慶次は、平成現代なら定年退職を迎えて年金暮らしに入っている御隠居様となっても傾き者のセンスを忘れず、その槍の腕前にも微塵のびすらなかったということになりますね…。




 
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