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"歴史痛"の看板に偽りなし?戦国トリビアシリーズ【第十四夜】

JUGEMテーマ:コラム

戦国与太噺。導入部、となぜ素直に命名出来ない。(画像は斬?スピリッツより)


■五月十四日のトリビア

 『篭城中の天守閣ごと自』という衝撃的な最後を
 とげた乱世の梟雄・松永久秀。実はその首級を
        羽柴秀吉が偽造し、信長に送っていた。  



■戦国の覇者は梟雄・松永弾正の心意気を知る。見事に看破された秀吉の猿知恵。

 
『儂が秘蔵の平蜘蛛の茶釜と我が白髪首だけは、信長の目にかけさせぬ!! 松永弾正少弼久秀の最期、とくと見届けるが良い!!』

 1577年(天正五年)十月十日、戦国乱世に『誰も真似が出来ない』三つの悪事の大輪花を咲かせた梟雄・松永久秀は、信長に二度目となる叛旗を翻して居城・信貴山城に篭城。
 越後の上杉謙信の援軍を頼みに徹底抗戦しますが…敢闘むなしく城は紅蓮の炎に包まれ、あとは本丸天守閣を残すのみという危機に直面ていました。

 対する織田家の軍勢は信長嫡男・織田信忠や羽柴秀吉らが率いる十万の大軍、既に蟻の這い出る隙間も無く信貴山城は包囲されています。稀代の謀将である久秀とて、この圧倒的戦力を覆す策はありません。

 久秀が頼りにしていた上杉謙信の援軍も到底、間に合いそうになく…かくして二度目の叛逆劇は失敗し、松永家は滅亡の憂き目を避けられない事態に直面します。


 しかし、織田信長は松永久秀という男をことのほかにいっていました。 

  室町幕府将軍・足利義輝を弑逆しいぎゃく。目下の者が、親や主君に叛逆して殺すこと。)し、主君であった三好長慶・義興父子を毒殺し、国家鎮護を掌る奈良東大寺の大仏殿を焼き討ちした前代未聞の悪漢である久秀に対し、異例の条件付助命保障のある降伏勧告を発したのです。


天下に二つとない銘器・古天明平(こてんみょうひらぐも)の茶釜を引き渡せば、此度の謀叛については罪を問わぬ。その方の武運はもはや尽きておる。潔く降伏いたせ!!



 あの気が短く残虐で酷薄な気質の信長が、久秀の罪を許すのは実にこれが度目です。(一回目は信長上洛時に謁見した際、二度目は武田信玄に通じて謀叛を起こした際。)


 しかし、松永久秀の選んだ応えは『否』でした。


 侘び茶の大成者である武野紹鴎(たけのじょうおう)に茶の湯を学び、和歌・連歌、舞いに刀剣鑑識まであらゆる教養に一流の器量を示した、悪逆非道ながらも気高い風流人だった彼には、仏ですら見逃さないとされる三度目の叛逆を命よりも大切にしている稀代の銘茶釜を没収されることでお咎め無しにされることなど、到底耐えられなかったのでしょう。


 かくして、一代で室町幕府と京の都を牛耳り、キリスト教宣教師から『天皇や主君すらも軽んじ、帝都に君臨している』と讃された稀代の梟雄・松永久秀は信貴山城天守閣にありったけの火薬をかき集め、信長垂涎の茶器を次々と打ち砕き、そして『差し出せば命を助ける』とまで評された大名物・古天明平蜘蛛の茶釜を抱いて、松明に燈る火を導火線に投下!!


 信長の降伏勧告を拒絶したその言葉通り、此世には白髪の一本も残すことなくその身を灰燼に帰し、戦国武将としての生涯に壮絶な幕を閉じました。



 信貴山城の天守閣を屋根瓦に至るまで木っ端微塵に吹き飛ばすほどの大爆発だったという煉獄の炎、悪逆非道の限りを尽くし数多の謀略を生み出した明晰な頭脳、そして風貌の良い二枚目とされたその首級は彼の望みどおり、跡形もなく消し炭になった筈でしたが…。



 実は、その爆炎に燃え盛る信貴山城の天守閣を撃ち破り、久秀の首級をつけ出した織田家武将が居たというのです。

 彼の名は、羽柴筑前守秀吉。

 そう、後の豊国大明神…難波の太閤殿下となる、信長寵愛の家臣にして当代無双の器量人です。誰の眼から見ても『これでは、松永弾正の遺骸はカケラ一つも残っていまい』と思われていた城内から見事、その首級を発見したのはさすがというべきでしょうか。


 他の織田家家臣達を出し抜いた秀吉、鼻高々にその首級を首桶に詰めて、安土城に居る織田信長に首実検をして貰うべく移送します。


 大和国興福寺の塔頭・多聞院の僧であった多聞院英俊(たもんいんえいしゅん)が書き残し、戦国時代の畿内で起きた数々の出来事を克明に記録し信頼性も高いとされる一次史料『多聞院日記』にも、

安土へ(松永久秀・久通親子ほか)首四つ上了

 と確かに記録があり、松永久秀最期の意地も空しく、その焼け爛れた白髪首は信長と無言の対面を果たすことになったのですが…。


 矢張り、『戦国の覇者』の慧眼は伊達ではありませんでした。安土城に届いた首桶四つを見るや否や、織田信長は蓋を開けさせるまでもなく『真実』を即座に看破してしまいます。

これ、ならん。霜台(そうだい。久秀の官職・弾正少弼の唐名)は首になりても我が前に来る者にあらず。


 松永久秀ほどの梟雄が覚悟を決めての熾烈な最後を遂げたことを報告に聞いていた信長には、たとえ物言わぬ首になっても彼がその醜態を自分に見せる筈がない、これは偽の首であると確信できたのでしょう。

 果たして、小姓達が首桶の蓋を開き、中に詰められていた焼け焦げの首を確認すると…――何度も久秀の顔を見ている信長のこと、幾ら燃えていようが焦げていようが、それを見間違えるはずはありません。

 予想通り、それは久秀と良く似た老人の首を焼け焦げにした贋首であることが一目瞭然でした。



 『筑前(ちくぜん。筑前守、この場合は秀吉のこと)にてこのことを成す。

 秀吉の小賢しい猿知恵が、こんな真似をしたのだろう。相変わらずあの禿鼠のやることは底が浅い…――そう言って、きっと信長はこれを笑って見逃したことでしょう。

 そして、こんな『確認すれば、すぐに判る』をついた秀吉もまた、こういう浅墓な悪戯をすれば信長がこれを看破し、『猿の阿呆めが!!』と呵呵大笑して上機嫌になるだろう…ということを、良く判ってやったに違いありません。


 
 秀吉の予想は、『とある事件を起こして謹慎中だったはずの秀吉が、信長の命で北近江半国・長浜城城主から織田家山陽地方軍の司令官に大擢される』という形で的中します。


 誰にも真似できない、天下に悪逆非道と誹謗された梟雄の最後すらも立身出世に利用した秀吉と、そんな彼の頓知諧謔を笑って不問にした『戦国の覇者』織田信長。

 こういうエピソードを見ると、本当にこの二人は相性が抜群に良い主従だったのだな、ということが偲ばれます…。




 
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