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"歴史痛"の看板に偽りなし?戦国トリビアシリーズ【第十三夜】

JUGEMテーマ:コラム
 

■長らく仮題『大河 『風林火山』&『江』と戦国を語る。 復・刻・版(仮)』として
戦国歴史読み物を掲載してきた当ブログですが、読み物の内容が
大河ドラマ寄りから戦国時代全般に変遷しつつあり、
また赤髭の活動基盤がHP『赤髭亭』に移行したため、ブログ名を
『赤髭公ばるばろす。の戦国武将夜話』と改題することに致しました。

今後とも読者の皆様には、以前と変わらぬ御贔屓のほどを宜しく御願いいたします。

『赤髭公ばるばろす。の戦国武将夜話』 管理人 赤髭公ばるばろす。


■赤

http://akahigetei.extrem.ne.jp/main.html



戦国与太噺。導入部、となぜ素直に命名出来ない。(画像は斬?スピリッツより)


■五月十三日のトリビア

 二大勢力が衝突した際にどちらが勝つか見極める
 ために日和見をする、という意味の言葉『ヶ峠』。
     実は語源とされる筒井順慶には全く覚えのないことである。  



■良かれと思って先祖の歴史を改ざんした筒井家の算。

 
さて、先夜では明智光秀の起こした戦国歴史上最大の叛逆劇・『本能寺の』についてお話しましたが、今夜はその明智光秀が思ってもみなかった計算違いのひとつ、筒井順慶(つついじゅんけい)のお話を。


 殆ど死語になりつつありますが、『実力伯仲している二大勢力が争う際、旗色を明らかにせずに"どちらが勝つか"を見極めるため傍観する』ことを、『ヶ峠(ほらがとうげ)と言います。


 この洞ヶ峠とは現在の京都府八幡市と大阪府枚方市の境目に実在する地名で、1582年(天正十年)、『戦国の覇者』織田信長を劇的に葬り去った明智光秀と、その復讐と弔い合戦のため帰還した羽柴秀吉が山崎・天王山で激突した際、本来であれば光秀と懇意の仲であり明智軍について然るべきはずの大和国(現奈良県)郡山城主・筒井順慶がこの洞ヶ峠で軍勢を待機させ、光秀敗北が決定的になった際に秀吉軍に急遽として参戦したという話が言葉の語源とされています。


 既に大勢が明らかになってから勝ち馬に乗り、秀吉の覚えがめでたくなるようにと退却していく明智軍を追撃したという順慶の愚挙、実に節操のない順慶の行いを世間の人が『見苦しく、卑怯千万なことだ』と批難したことから、長くこの地名は『日和見主義の代名詞』として日本語に溶け込んできました。



 しかし、この筒井順慶という人物はそんなに見苦しい似をするほど性根の卑しい武将ではありません。
 
実際の順慶はこのとき34歳、既に戦国乱世の酸いも甘いも知り尽くした歴戦の武将だったのですから、そうそう迂闊に筒井家を傾ける様な真似をしなかっただけのことなのです。

 筒井順慶は1550年(天文二十年)、父順昭の早逝により僅か二歳で家督を相続。当時の室町幕府を牛耳っていた三好長慶とその尖兵・松永久秀の大和国侵略に対抗すべく、興福寺衆徒を率いて奮戦。
 何度も滅亡の縁に立たされる劣勢となりながらもしたたかに反撃し、久秀が信長に臣従した後は、織田家とも剣戟を交えて戦うほど頑強な性根を持つ戦国武将でした。

 のちに松永久秀が武田信玄に通じて信長に叛旗を翻したため、入れ替わりに織田家へ属して敢闘、ついには長年の宿敵だった久秀を葬り、信長より大和一国の仕置きを任されるほどになりました。


 この時、筒井順慶を支援して松永家攻略をアシストしたとされるのが明智光秀です。順慶と光秀は懇意の間柄になり、光秀の妻の妹を正室に娶って明智家と姻戚関係に。
 そして光秀も得意の築城術を駆使して順慶の居城・大和郡山城を改築したり信長に彼の大和国安堵を働きかけるなどして筒井家を支援し、後に光秀が丹波国(現京都府北西部)の大名になった際には、信長よりその寄騎として働くよう命じられています。


 しかし、その信長を光秀がってしまった。

 たしかに順慶にとって光秀は色々と恩義もあれば昵懇の仲、そして義兄弟にもなるわけですが…織田信長は滅亡の縁に立っていた筒井家を後援し、松永弾正の滅亡後は大和一国を気前良く与えてくれた『御家の人』でもあるのです。


 迷いに迷った結果…順慶は『亡き信長への誠』と『光秀への義』の板ばさみ状態を脱することが出来ず、旗色を明らかにすることが出来ませんでした。
 信長が本能寺に倒れて十一日目の6月13日、山崎の合戦が始まった頃には、順慶は居城である大和郡山城に篭城していたのです。

 実際に『洞ヶ峠』に来たのは明智秀の方で、これは旗色を明確にせず援軍にも来ようとしない筒井順慶の行動に焦った光秀が、その出陣を催促するためでした。
 
光秀は自分が信長を討てば周囲の織田家家臣達の何人か、特に娘婿である丹後の細川忠興や義理の弟である筒井順慶、そして直属の武将であった中川清秀や高山右近は最悪、味方陣営についてくれると信じていたようですが、蓋をあけてみれば順慶以外の総てが羽柴秀吉陣営に寝返るという有様。

 ここで順慶が来てくれなければ、光秀は僅か一万五千の軍勢で、四万の羽柴秀吉軍…しかも『亡き信長公の弔い合戦』と意気軒昂、士気も覇気も磐石である大軍と戦わなければいけなかったのです。


 しかし、結局順慶は大和郡山城から出陣することはなく…明智光秀は山崎で敗北。居城の近江坂本城へ逃れる最中、京都山科は小栗栖の竹薮で落ち武者狩りの竹槍に命を奪われる結果に終わりました。


 山崎の合戦が終わった翌日、6月14日に順慶は京都醍醐へ軍勢一千を引き連れて駆けつけ、秀吉に臣従を申し込みます。

 秀吉は旗色を明らかにせず日和見に走った順慶の行動を批難しますが、順慶は筒井家伝来の家宝である高麗茶碗『筒井』(つついづつ。冗談のような銘ですが本当なんだから仕方ない。)と、茶壷『落葉』を献上。

 他の織田家家臣同様、茶の湯に造詣のあった秀吉はこの二大名器を手に入れたことで上機嫌となり、結果順慶は今までどおり大和一国を支配する大名として秀吉の所属になることを赦されたのです。



 しかし、筒井順慶が洞ヶ峠に軍勢を引き連れて山崎の合戦を傍観し、その旗色が明らかになったところで狡猾にも羽柴軍参戦を決め込んだ、という話はどこから降って湧いたのでしょう。

 
当時の山崎合戦の経緯を詳しく記録しており、信頼性も高いとされる『多聞院日記』や、秀吉の一代記である大ベストセラーのラノベ(笑)・『太閤記』ですら、そんな記録は見当たりません。

 両書籍に書かれているのは、光秀のほうが洞ヶ峠に来て順慶参戦を促したが叶わなかった、それだけです。


 …実はこの話の出所は、順慶の子孫が書き残した『増補筒井家記』(ぞうほつついかき)という、いわば"筒井家の式文書"からだったりするのです。

 なぜ子孫たちは、戦国大名・筒井家の基盤を築いたご先祖様であり筒井家の危機を救った順慶を貶めるような記述を書いたのでしょう?


 実はこれ、そういう意図とは正対の意味で書かれたのです。どこの御家も、公式文書で自分の先祖を悪く書くはずがありません。

 順慶の子孫達は、信長の後継者を決める天下分け目の一大決戦・山崎の合戦で順慶が穴熊を決め込んだことを格好悪く思い、『順慶様は洞ヶ峠に軍勢を引きつれて出陣した』ことに歴史を改ざん。

 
そして順慶があざやかに、機転良く明智軍を攻撃して秀吉のために武勲をたてたことにしよう、と勝手に書いた結果だったんです。

 良かれと思ってやったんですね、あくまでも。



 ちなみに、筒井順慶はこの山崎合戦後に羽柴家へ帰属したあたりから激しい胃痛を感じるようになり、また秀吉に忠勤するため無理過酷な仕事を続けた結果、体を壊し…1584年(天正十二年)、36歳の若さでこの世を去りました。


 きっと、冥途から世間を振り返って驚いたことでしょう。

 堅実に、筒井家のためを思ってやった行動がいつの間にか、しかも子孫によって勝手に卑怯者と取れるような形に改ざんされ、そうとは知らない世間様からさんざんに悪態を突かれていたのですから…。
 


 
■さらに戦国時代の知られざる秘話やためになる格言、知識を得たい人は
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■赤

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