大河『風林火山』第十五回『諏訪攻め』 感想 


 
 こんにちは。最近、見た直後の更新を諦めつつある赤髭です。(弱ッ。

今回は放映して二日も経った後の更新ですが、遅くなった分いつもより歴史的与太話色を濃厚にお送りしたいと考えております。
■当時の文章のままお届け致します。もう投稿が遅れるようになってたんですね。( ・(,,ェ)・)


 結構な長文でかつ乱文乱筆になりますが、謹んでお納めくださいませ。…それでは、皆様の時間を少々拝借仕るッ。




■山本勘助(内野聖陽)
今回の勘助は文字通りの神算鬼謀、信玄の信頼に足る名軍師振りを遺憾なく発揮してくれました。


甘利虎泰の憤怒の咆哮も何処吹く風、返って主君の信頼を厚くし、甘利に苦虫を噛み潰させる、鮮やかな策の切れを披露します。


 この時代には常套手段なのですが、諏訪家に嫁いだ妹が生んだ赤子を奉じて諏訪家を乗っ取る為の算段や、前回に景政と組んで仕掛けた策が外れてしまっても冷静沈着、怜悧なまでに状況判断し、出陣約定を違えた高遠頼継を炙り出す策と、寡兵を率い決死の覚悟で突撃してきた諏訪頼重を撤退させる策を見事に連動させるくだりの手管は見事なものでした。


 また、教来石景政の諜報活動が露見した際にも信頼を得るために、あっさりと粛清に踏みきった徹底した策士振りも見事でした。


 …刀を振り下ろした時、頼重から『やめよ!!』と静止された時の修羅の形相を見ても、多分これは本気で斬るつもりだったのでしょう…。恐ろしい迄の斬れの鋭さです。
■今読んでみるとすさまじくかっこつけーな文章。(´⌒;;;≡≡


 後の世に『甲斐の虎』と謳われる名将になるとはいえ、まだ成長していく過程にある若き晴信には、勘助の先の先…人の心の裏側まで読み切った…恐ろしいまでの遠謀深慮は、文字通り『悪鬼』に見えたこと間違いなし。


 書面の上での策略劇しか演じた事が無かったであろう勘助も満足の行く出来だったのでしょう、まるで悪の軍事参謀が含んだ様な会心の笑み、哄笑とも見えるような凄絶な笑みを見せてくれました。(苦笑 


 …大河の主人公が、こんな邪悪な笑みを浮かべるだなんてシーンが今までにどれだけあったでしょうか。( ;・`ω・´)
■そもそも内野さんの笑顔が黒い。ん、誰ですかこんな時間に。



 計算ずくで張り詰めた計略の落度や、読み損ないがあっても糞落ち着きに落ち着き払った態度…立て板に水を流すような懸河の弁の冴え渡りも、赤髭的には刮目すべき点でした。


 歴史痛的イメージとしては山本勘助というのは『城の縄張りや軍兵の統率を計算ずくに組み立てていく、鉄面皮で寡黙な老人』といった風の感じが強かったので、策が外れて窮地に陥っても、敵地に乗り込んで臆する事無くつらつらと流麗に言葉を紡いでいくオットコマエの勘助というのはとても斬新に思えました。


        
 …この場を借りて下らない予言をしておきましょう。

 大河の影響を受けやすい某歴史SLGの老舗が『信長』最新作を発売すれば…きっと勘助は、今までとは違う…男前になってるでしょう(ぉぃ

■信長の野望・天道の山本勘助の顔グラフィック。



 ええ、モロに影響は受けてますね。そもそも某社の顔グラは色んなメディアから材料を拝借してますから…。



■武田晴信(市川亀治郎)
若殿時代にはどこか頼りない感じがしていた市川さんですが、だんだん武田の総領らしい貫禄が出て来た様な感じがします。


 かつて勘助を『使いこなしてみたいものじゃ…。』とその才を評価していた晴信ですが、諏訪家に嫁いだ妹が生んだ乳飲み子が男児と判るや、何の躊躇も無くその妹婿を粛清し、総領位を挿げ替えるべしと進言した勘助の非情なまでの切れには自分の予想以上の器量を感じて少々は驚いていたんじゃないかなーと思われます。



 『…悪鬼に見える』と呟いたのは恐らく本音だったんでしょうが…配下に思惑を見抜かれるようでは戦国乱世の大将は勤まりません。
■勘助は黒くない。たぶん内野聖陽さんが黒い。(暴言


…咄嗟に、前回見せたような頓知諧謔を利かせて『…儂の迷いなどではない…単なる見た目じゃ。』と勘助を煙に巻いてしまいます。


勘助も食わせ者ですが、晴信の器量も底が知れません…。
 この構図は、戦国慣れしておらず人の性根の奥底を読みきれなかった諏訪頼重とは好対照を成しているような気がしますね。



 しかし、武田騎馬軍団の神速の兵法を支えた伝令将校達である『百足衆』をちゃんと描写するとは驚きました。
■むしろムカデ衆を無視する武田信玄モノの方が珍しい。当時の私は考えて文章を作ってない。今もそうですけど。


 …以前、信濃海ノ口城攻めでは甲斐の金山で穴掘りを得意とする金掘衆を駆使した土竜攻め(もぐらぜめ)など、甲斐武田家自慢の特殊部隊を描写に取り込むこともありましたが…場面展開の合間にこういった歴史痛的知識をくすぐる描写を入れるあたりは、敷居が高いとは思いますが非常に興味深いです。


■教来石景政(高橋和也)
 後に信玄にも『さすが儂より歳上の大将じゃ。』と賞賛され、長篠・設楽ヶ原の壮絶な銃撃戦でも羅刹の奮闘を見せた後の『不死身の鬼美濃』こと馬場美濃守信春の若き日の姿です。
■パタリロがほめてくれそうな説明的文章。


 後に武田家四忠臣の筆頭格として、信玄の厚い信頼を得ることになる大剛の智将ですが、近年の研究では『実名が景政・信房・信春と多数ある上、それが何時に改名したのかもはっきりしていない』『武田家の元勲でありながら今の世に残った発信文書が殆ど無い』『山本勘助と同じく、"甲陽軍鑑"以外では活躍が語られていない』事などから、実在が危うくなってきている武将の一人でもあります。
■信用できる文章に出てない=実在しない。は歴史考証の上では暴挙じゃありません。ちなみに信用できるとされる文章は『当時の上流階級の日記』や『受給・発給文書』など、ウソをつく必要性がない記録。


 若年時には山本勘助に築城術を教わり、小幡虎盛に甲州流軍学を教わっていたという挿話がある景政。


 どうやら大河『風林火山』では、勘助と一緒に行動していくことで成長していく様が描かれていく様子ですが…。今回は、間者としての臭い演技が光りました(苦笑


景政『ぉぉ!!…飯富の赤備に、甘利の軍勢ッ…。
   …あれに見えるは足軽大将の鬼美濃じゃぁ!!
   …とても、太刀打ち出来ぬ…。
   …諏訪もッ、これまでじゃのぉぉ〜;(;゚Д゚)』


平蔵『何を言う、これからじゃ!!』


景政『これまでじゃぁぁ〜;(;゚Д゚))))』


平蔵『こぉれからじゃッ!!おい、こらぁッ!!!(;>ヮ<)』


 こんな臭い世迷言だけで逃げる足軽衆も足軽衆ですが…打つ術も無く狼狽するばかりの平蔵も、晴信や勘助とは違って凡庸な器量しか持ち得ない者の悲しさが良く現れていますね…。



 もっとも、騙している味方に気取られたり、後をつけられる様な恐れのある場所で内通の情報を漏らす辺り、まだまだ景政も思慮が浅いですが。(ぉ


 あとで頼重の前に引き出された姿を見た勘助は、一寸の躊躇も無く『敵方に裏切った間諜である』と粛清に踏み切る鬼謀を見せてくれましたが…景政が彼の域に達するのは何時のことなのでしょう…。
■歴史ゲームの評価なら、最近では馬場信春のほうが勘助より強い。


■諏訪頼重(小日向文世)
 関東管領上杉家の挙兵を上手く利用して、佐久郡を切り取った手管までは見事でしたが…海千山千、心の裏の裏を探り合う戦国乱世を渡っていくにはまだまだ未熟すぎる、優柔不断で判断が裏目に出る心理描写が目立ちました。



 余談ですが、晴信は1541年(天文9年)…つい先年に甲斐武田家の総領になったばかりで、武門の大将としての経験も浅いですが、この頼重もそれは同じ事で、彼が諏訪家の総領となったのは1540年の事でした。



 諏訪家の先代・諏訪頼満(すわよりみつ)は、僅か10歳の時に父親と兄を親類縁者である高遠家に討たれるという戦国の悲哀を味わいますが、そこから捲土重来し外交術と兵火を駆使して諏訪家の勢力を拡大し最盛期を演出します。仇敵関係の高遠家・高遠頼継をも討ち従え、信虎率いる甲斐武田家とも、盛んに剣戟を交えて争った名将でした。


 諏訪頼重は、『諏訪家中興の祖』と讃えられた先代・諏訪頼満の『孫』にあたります。


 1540年(天文8年)に頼満が逝去したことを受けての家督相続でしたが…"子"では無く"孫"であり、歳が若かったゆえにこの祖父の器量を、祖父の家中掌握術を、後継者教育を満足に受けられなかった事が、頼重の不幸でした。


 さらに、家臣達の心を掴み父親を追って家督を襲封した晴信と違って、頼重は祖父の築いた栄光とその残照を安穏と受け継ぐ形で諏訪家の家督を継承しました。この点で既に、頼重は君主となる上で味わった苦渋の量や、人を見抜く力を育む機会が乏しい事がわかります。
 自分を支える事になる親族達…諏訪満隣(小林勝也)や諏訪満隆(牧村泉三郎)らはみな年長であり、頼重はその意を汲まぬ方針を強く打ち立てる事は出来ませんでしたし、高遠頼継は諏訪家の片翼を支え臣従してはいるものの、頼重を立てる気など無い野心家でした。



 案の定、頼重は決死の突撃敢行を宣言するも満隣・満隆に諌められては強行は出来ませんでしたし、その意気も妻子に後ろ髪を引かれて萎えてしまいます。


 高遠頼継が頼重に叛意ありと密告してきたと唆されれば、言葉の裏を読めずにすんなり信じてしまいますし、武田家の謀略の証である尻尾・教来石景政を掴んだにも関らず…処断すると鬼気迫る形相の勘助の繰言にはあっさりと自分の不才を認めてしまい、晴信・勘助主従の心が読みきれませんでした。



 次週予告で『儂に腹を切れと言うのか。』という意味深な台詞が流れましたが…この若き諏訪家の総領の最後はどう描かれるのでしょうか。海ノ口城の平賀源心入道の描写も秀逸でしたが、次週も期待大です。
 
■高遠頼継(上杉祥三)


…いや、旨そうに飯食ってる場合じゃありません。(苦笑)


 武田家の力を利用しようと企み、もっとも良い好機を伺って出兵を渋った結果が失敗とくれば小悪党としては我慢ならない所でしょう。…後の祭りの地団駄踏み、高遠蓮蓬軒(木津誠之)との責任のなすり付け合い…ぁあもうダメだこのおっさん二人。


小者臭が強すぎてクラクラします。(苦笑 晴信・勘助主従を手玉に取るにはもう3・4枚役者が違ったと言ったところでしょうか。



 彼らの末路がどうなったかは、意外な事に番組最後の『風林火山紀行』が全力でネタバレさせていましたが、所詮は取るに足らない浅墓者二人、視聴者の方々にはどーだっていいと思われたのでしょうか。…不憫たぁ思いませんが(苦笑。



 ネタバレついでにもう一丁。…実は本日、4月17日は…(註・旧暦換算になるので厳密には違うのですが)462年前、この頼継が居城であった信濃高遠城から逃げ出す羽目になったその日だったりします。(爆
■2007年当時。今日は2010年12月12日。長宗我部元親の嫡男・長宗我部信親の命日=戸次川の合戦が起きた日。長宗我部Fanの皆様は合掌を。仙石秀久Fanは反省を(何様。


 …ぁ、騙り者の古狸、徳川家康の命日でもあるのか…まぁいいや、高遠頼継以上に(暴言。


■由布姫(柴本幸)
いよいよ『風林火山』のヒロインの輪郭がはっきりしてきました。


井上靖原作『風林火山』では、戦国武将達の兵法謀略には長けていても…ナントカと秋の空はさっぱり読めない勘助を大いに翻弄する才女振りを発揮するのですが、その勘の鋭さ、気丈夫さは今回の放送でも良く描写されています。


 諏訪頼重ら諏訪家の重臣が揃って騙される中、後光(?)を伴って登場し、薄ら笑いをうかべる勘助を『…醜い悪鬼じゃッ。』と鋭い舌鋒で斬り捨てる様は、顔に見合った気丈夫ぶりでした。(汗


 …以前、赤髭は『諏訪御寮人(すわごりょうにん。由布姫の通称。実は由布姫という名前は井上靖の創作で、実際の彼女の名前ははっきりと判っていません。ちなみに"御寮人"とは『美人』という意味。)の薄幸さ、儚さを演じるにしては柴本さんでは雰囲気が強すぎる云々…』などと申しましたが、よく考えて見なくても…


 『風林火山』の諏訪御寮人というのは気が強く快活で、好色な信玄、朴訥な勘助の思惑を十二分に利用しながら双方の真意を引き出す術に長けた人物であり、一般に言う『悲劇のヒロイン』型には素直に納まらない人物像でした。


 …歴史痛的イメージには沿わなかったのかもしれませんが、これはこれで嵌り役だったのかも知れません。


 気丈夫さだけではなく、その強がった一面に隠れた由布姫の悲哀を演じきれるかどうかが見所ですが、その場面は早くも来週には訪れる模様。要チェックです。


■平蔵(佐藤隆太)
当に生き馬の目を抜く激動の戦国時代を勇猛果敢に、時に知略策略を駆使して生き抜いていくだけの実力・器量を兼ね備えた『大将達』からの視点ではなく、一人の…若者の視点から描写するためには欠かせない人物です。


 …決して勇猛でもなく、思慮深くもなく、果断でも無い。


 けれど、私達視聴者に一番近い始点から『風林火山』の世界を見つめる平蔵は、感情移入も容易ですし今後の物語を見ていくにあたっても重要なキーパーソンと言えます。


 勘助との友好関係が半ば破綻しかけている描写も描かれますが、次週以降の彼の動向はどう移り変わっていくのでしょうか。



 さてさて、次週はどうなることやら。
■次週はまた戦国時代系のコラム予定。乞う御期待。


大河『風林火山』第十四回『孫子の旗』 感想 



■本日はクラシックでお届けします。当時、放送日は統一地方選挙があったようです。

 先宵の『風林火山』は統一地方選挙結果速報のお陰でいつもより1時間余り早く始まりました。地方選挙の方は全地域の知事選で現職が対抗馬を破り、まったく危な気無い選挙戦になったようですが…果たして『風林火山』での合戦も大番狂わせ無く終わってしまうのでしょうか?

 …ではでは、今宵も登場人物・俳優別に感想と歴史痛的薀蓄をちりばめた与太話を展開していきたいと思います。
それでは、今宵も皆様のお時間を少々拝借仕る。…されば、いざッ。( ;・`ω・´)



■甘利虎泰(竜雷太)
『戯ぁあぁれぇ言を申すなぁッ!!(#゚Д゚)』
 旧世代の武田家重臣達の旗頭、反勘助派の急先鋒である虎泰親父が今宵もいきなり吼えてくれました。…まるっきり、豊臣秀吉の出世物語における柴田勝家のポジションを踏襲したような反応。竜さん、血管切れそうです。(苦笑
 
『黙れィッ!!…ひかえぇぃ!!』 …いや、ほんと血管切れますよ。(汗


 晴信・信方主従と違って先代・信虎にも寵愛を受けていた虎泰としては、かつての主君・信虎に『武田家の軍師』と賞賛された自分が、勘助如き若輩の戯言に勝らない事が腹立たしくて仕方ないのでしょう。

 大井夫人にこぼした愚痴に『…軍師の様に扱われるのか』と思わず本音も見え隠れしていましたし。


 赤髭的には、武田家家臣の筆頭格である『両識』の片翼なはずの甘利虎泰が、いちいち新参者の勘助の言葉に怒り心頭に怒鳴り散らすというのも何だか器量が狭い様に思います。
 柴田勝家も実際は『甫庵太閤記』の挿話ほど羽柴秀吉を毛嫌いしていた訳では無かったようですし…。


 最後に『風林火山』の軍旗を見上げて微笑む横顔、立居に武田騎馬軍団の古兵らしい落ち着いた佇まいが見えたのがせめてもの救いといったところでしょうか。


 …とか思ったら、また次回予告では勘助に向かって吼えている虎泰。まだまだ確執は続きそうな気配。


■高遠頼継(上杉祥三)
 何なんでしょう、この余りにも嵌っている『野望は人一倍だけど器量がそれにおいついてない小者』的な雰囲気は。(^^;


 勘助と教来石景政(高橋和也)が偽装付きの撒き餌を蒔いてもまったく疑わず、『やったぁ♪』みたいな顔で喰い付いて来てきたり、二人が口論を始めれば嘲り顔で二人をなだめて得意になるなど、まったく武田家の真意を読めていない様子。


…まぁ、歴史上の高遠頼継も浅墓な武将でしたし、まったく違和感はありませんが。(苦笑


 ちなみに、彼の居城であった信濃高遠城。
…後に戦国の覇者・織田信長が侵攻した際には仁科盛信(にしなもりのぶ)が城主として入り、織田信長の嫡男・勘九郎信忠の軍勢を迎え撃ち、壮絶な篭城戦を展開することになります。盛信は織田方の降伏勧告を頑としてはねつけ、最期の最後まで戦い抜くこととなります。


 歴史の皮肉、という奴でしょうかね…。(´・ω・`)


■武田晴信(市川亀治郎)
 『どこが気に入った。…どこが好きじゃ』と来て・・・『ばぁーか。(*゚∀゚)』の一言で思わず腰が砕けたのは、決して私だけではないでしょう。(苦笑


 その後の勘助をからかう様な素振りを見ていたら何だかそのシーンだけ現代劇の様に思えたのが、また何とも既視感のある厭な予感でして。本格的かつ重厚、そしてリアルな戦国大河を目指した『風林火山』ですが、重く堅苦しいだけでなく、こういった茶番めいた描写を時折挟み込んできます。たまには気を緩める演出も必要、といったところでしょうか。



 さて、今回は終盤に武田信玄と甲斐武田騎馬軍団の象徴となる『孫子の旗』が登場します。


 紺地に金泥で大書された軍旗が翻った際に、その勇壮さに想わず鬼美濃も歓声を上げて拳を振り上げましたが、この『風林火山』とは、以前もご紹介した古の名軍師・孫武長卿(そんぶ-ちょうきょう)の兵法書の孫子兵法十三篇、その一項である【軍争篇】で、兵を統率する時の武将としての心構え、軍配の真髄を言い表した一説です。


 

 正確には、


 其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山、難知如陰、動如雷霆


 (軍の指揮とは。進軍する時は風の様に速く、止まる時は林の様に静かに。 攻撃を始めるときは火の様に激しく、防禦戦のときは山の様に堅牢に。 兵を伏せる時は影のように、奇襲を仕掛ける時は稲妻の様に。)


 という文面になります。


 勘助が温泉で上四句を朗々と詠み上げた後、晴信が下二句を嘯いていますが、風林火山における勘助の立居振る舞いと言うのは、本当にこの言葉に集約されている様な気がします。
 
 井上靖原作『風林火山』では"めっかち"だの"ちんば!"だの、散々な言われようをする醜悪な様相で小男・山本勘助。
■普通に差別用語ですが、原作での風味を表現するため敢えて掲載いたしました。四年越しにお詫び申し上げます。


 風采の上がらない、五体も不具と恵まれていない容貌ながら、いざとなれば脚の不自由を感じさせない機敏な行動力を発揮し、平素はその切れのある頭脳はひけらかす事がなく静か。

 そうかと思えば青木大膳を斬って捨てた際や、後顧の憂いとなる敵将の処遇を速やかに処断に踏み切った非情なまでの実行力があり、困難な状況では虎視眈々と"勝機"が到来するまでじっと耐えぬくという我慢強さ…など、随所に『孫子』の教えを実行に移した様子が読み取れます。

■つまり、風林火山とは勘助の生き様でもあるんですね。風林火山という題名、深読みすればするほど面白いです。

 
■三条夫人(池脇千鶴)
 ぁぁ。由布姫の姿が見え隠れしてきたと思ったら早速、晴信との夫婦仲が一気に黄信号点灯に(泣。


 今までの三条夫人は晴信との仲も睦まじく、表情も柔らかくて魅力的でしたが、今回に限ってはそういった表情が無くなり、いやなタイプの三条夫人にシフトチェンジしてきているようです。


 今週から『晴信さん』じゃなくて『おまえさま』に呼び方が変わりましたし、『お前様のなかに、さように非道なものがあろうとは。』と言い放った際も、言葉の表面の意味以上に何か冷ややかなものに感じました。赤髭は由布姫(柴本幸)を見ても…どーも馴染めないので、彼女のヒロインの座陥落はあんまり歓迎出来ません…。


 公家の生まれの高慢ちきなプライドを丸出しにして、側室達を苛めまわった、二言目には『京都では、京都では。』と嫌味を言った。という悪妻説に傾いていくのかなーとか思うと、少し悲しいです。
 …けど、原作でもかなり辛辣な言葉を吐く厭な役回りなので、それも不可避かなぁ…orz


 


 余談になりますが、彼女の姉が時の室町幕府管領・細川晴元(ほそかわはるもと)の正室である事は以前にも話しましたが、実は三条夫人、歳の離れた妹も居たりします。


 実は父親の転法林三条公頼(小杉幸彦)は実父ではなく養父、三条夫人は阿波守護職・細川持隆(ほそかわもちたか)の娘なんだとか。

■…――細川持隆の名前にピンと来た方。『れきたん。』の御愛読ありがとうございます(いらん宣伝すんな(*>ヮ<)っ)・ω・`)・∵;;


 当時の実力者は『名家と姻戚関係を結ぶとき、実の娘がいなくても別の名家から養女を迎えて、その子を別の家に嫁に出す』なんてことをよくやっていました。

 縁戚関係を広げることで、戦国時代の荒波を乗り越えようと考えていたんでしょうね。もし本家が没落しちゃっても娘の実家へ逃げ込めますし、ご飯だって食べられますから。


 


 閑話休題。その妹が嫁いだ先は、石山本願寺門跡・本願寺顕如(ほんがんじけんにょ)。


 …石山本願寺は、言わずと知れた浄土真宗の総本山。

 『南無阿弥陀仏』の六文字を読経し、御仏の慈悲にすがればどんな悪人でも極楽往生出来るというわかりやすい教義で爆発的に信徒を増やし、死を恐れない一向宗門徒達を扇動して各国の戦国大名と戦ったという、寺院というより武装宗教勢力に近いものでした。


 特に北陸地方では強い影響力があり、加賀国(現石川県南部)は一向宗門徒が守護職の富樫家を滅ぼし、一向宗門徒の合議で政治を動かす『一揆持ちの国』となっていましたから、その軍事力や財力・威信はヘタな戦国大名をうわまわるものでした。


 つまり、甲斐の虎・武田信玄と一向宗の総大将・本願寺顕如は、正室が姉妹…よって義兄弟の間柄。


 この縁戚のお陰で、武田信玄は宿敵である上杉謙信や徳川家康、織田信長の覇業を大いに阻んだ強敵・一向宗門徒達とまったく衝突をする事なく、勢力拡大することが出来たのです。


 


大河『風林火山』第八話『奇襲!海ノ口』 感想 【classic】

JUGEMテーマ:エンターテイメント


■今回の更新は、『山本勘助と戦国を語るclassic』。

赤髭が三年前に執筆していたブログ『山本勘助と戦国を語る ある歴史痛の戯言』をほぼ完全復刻してお届けするという手抜き企画当時のことを知っていらっしゃる方にはたまらない企画です。

三年前、大河『風林火山』を楽しみにしていた若者(語弊含む)だった赤髭のテンションや、当時の雰囲気をお楽しみ下さい。

待って、腰の刀は抜かないでって最初に言ったはず…なに、お前なんか脇差か笄で十分だって?

いや、待ってください、笄と脇差もダメってTOPに追加しますかrウワナニヲスル

ストーリー解説・キャラクター紹介。

 
今宵は待ちに待った日曜日の夜。大河『風林火山』第八話が放映される夜だ。今夜は有識者での間では『ちょっと話が出来すぎちゃいねえか?』としきりに声の上がる武田信玄の初陣、佐久海ノ口城攻防戦が舞台となる。

 剣戟の草叢、闇夜に煌めく槍衾。例年の大河にない生々しい、現実味溢れた城攻戦の描写に期待したい。

 ・・・余談だが、昼間の内に用事を済ませて早めに風呂も沸かし、洗面台の前で鼻歌交じりに散髪(歴史痛は今風のトレンヂーな髪型になど興味は示さない。扱いが良い5枚刈りをこよなく愛するのだ)をこなしていたら、ものの見事にしくじって虎刈りになり、気がついたら平賀源心入道になっていた。

・・・明日上司に怒られやしないかと想うと内心穏やかではないが、仕方なかったのだ。・・・(遠い目
・・・とまぁ、余談はさておき今夜も登場人物、それを演じる俳優さん、歴史上のちょっとしたエピソードを踏まえての感想を徒然なるままに書き綴ろうと思います。閲覧者の皆様のお時間を、少々拝借仕る。・・・ではいざッ!!

■寸評…当時ははっちゃけてたんですねえ。口調もおかしいし。
      
山本勘助(内野聖陽)
遂に今回は因縁の武田家と戦場で合見えますが、なるほど・・・。

武田信玄の初陣での、見事な逆転勝利を演出する佐久海ノ口城攻めの前半戦での武田軍の敗戦も、勘助の鮮やかな軍略展開によるものだと描写すれば、この時代ではまだま希薄な勘助と晴信との接点が色濃くなるわけです。

・・・その見事な軍配で勇猛と名高い武田軍を一度は撃退しますが、密かに懸念していた悪条件が全て揃ってしまい、またあの『挫折を知らぬ青二才め』にしてやられてしまいました。・・・『人を恨みすぎて、見えなくなった』隻眼にも読めていた展開だっただけに、さぞかし残念無念だったことでしょう。

 しかし、勘助役の内野聖陽さんは実力派の舞台俳優だと言うことですが、その下馬評に違わぬ演技の幅だと思います。

 戦場で軍略を次々と展開し、それが成功裏に終わった際の才気自信に満ち溢れた顔や平賀家の姫様に言葉を掛けられた際の憂いを帯びた表情、落城の予兆を感じ取った時の両目を見開き緊迫した顔、そのどれもが非常に良い!!

・・・戦国乱世に飛躍しようとする欲(恨み含む)多き若者役は正に妥当な配役でした。とれんぢーどらまばかりしてる二枚目にはこの味は到底出せないでしょう。

次回は『勘助討たれる』等と言う物騒な題名がついていますが、果たしてどうなることやら、この歴史痛めにも予想がつきません。・・・

■寸評…チャンネル変えたい。本気で変えたい。
    
板垣信方(千葉真一)
第四話で勘助と鋭い太刀廻りを演じたサニー千葉。今夜も若殿様・晴信の初陣だというのにその若殿以上に目立ちますッ。

 平賀方の大豪武将・武藤永春(中山正幻)の鬼気迫る鋭い剣撃を二刀流の交差で受け止めた時の、敵を睨む鋭い眼光がなんだかとっても素敵です。

 勘助との一騎討ちの際もそうでしたが、迫力あるアクションを演じられて戦国武将らしい威厳と気風を出せるアクション映画俳優さんは何故今まで大河に出ていなかったのでしょうか。

 誰とは言いませんが電流爆破に突っ込んで邪道がどうとか叫んでる人とか、エベレストジャーマンな元PRIDE戦士とかキャスティングするよりよっぽどか味があると想うんですがね・・・。

■寸評…大仁田厚・高山善廣のこと。どちらも蜂須賀小六で大河に出演。

 戦国時代の具足の着こなしや似合いようも堂に入ったもので、篝火の下で黄金色に煌めく蜻蛉の前立ての兜も良く似合ってますし。何より合戦場になると平服時の"爺"にはない迫力の様なものが宿っています。

 この辺はさすがにサニー千葉と言わざるを得まいッ!!!(力説 っていうか千葉真一が信玄役で良かったんじゃ無いのかと強く想いま・・・ぁぁ、16歳の晴信役は無理か(爆  

・・・何、渡哲也の18歳信長はって?・・・皆まで言うな、わかっているから。(ぉ
 いつしかの回では詩歌に傾倒し尚文軽武の気風すら見せた晴信を涙目で諌める場面もあったように、後の常勝無配・甲斐の猛虎を育んだのは、甘利虎泰(竜雷太)と共に武田の両職(りょうしき)に名を連ねたこの信方でした。

 信方は歴戦の武田家家臣団の年寄達の筆頭格で、後に晴信が武田家総領を継ぐことになった事件の影の首謀者とも呼ばれる実力者。

 近年の研究では後に晴信をも凌駕する権勢の持ち主であったと伝えられています。

 ・・・今のところ、ドラマの中でも両者の信頼関係は堅く、見方によっては良い師弟関係のようですが、実は信方は後に良い様にも悪いようにもとれる最期を迎えることになります。

・・・まだ随分先の話ですが、その時は一体どういう描写がなされるのでしょうか・・・?

 余談ですが、後に板垣家は明治の世に憲政政治の立役者・板垣退助を輩出しています。

■寸評…残念、板垣信方と板垣退助に血縁関係はない。
平賀源心(菅田俊)
武田信玄を語る際には必ず引き合いに出される"やられメカ"、平賀源心入道です。

身長二メートルを超え、130cmもの大刀を振りかざすことが出来る猛将軍、南佐久随一の猛将として信濃侵略を企む甲斐武田家の前に立ちはだかる巨壁ですが、ドラマにもあったように晴信にあまりにも簡単に、ご都合主義的に討ち取られてしまいます。

 武田信玄を題材にした漫画や小説・物語では大抵の場合、己の武勇を鼻にかけ若い晴信を侮る典型的な小者のような扱いを受ける源心ですが、何気に今回の描写はカッコ良かった!!

 勘助が『必ず武田軍は戻ってくる!!』と力説する場面も、普通なら『なぁに、武田の子倅に何が出来るってんだい、戻ってきたら蹴散らしてくれるわ!!』ってな余裕綽綽の反応が想い浮かびますが、今回の源心はちがいます。

 『この雪だ、馬も走れん、兵も疲れておる。・・・それよりも、勝ち鬨を上げ、家臣達にもたんまり祝い酒も振舞ってやりたいのじゃ!!』と、なかなかに親分肌な気の良い大将振りを見せてくれました。


 最期の太刀廻りでも、自らを弔う為のものなのか一しきり低い声で読経を唱えた後、押し寄せる武田軍の兵士に豪将らしい奮闘を見せ、槍で貫かれて絶命する壮絶な最期が描き出されていました。

 武田主観の良くある物語なら、こんなにも戦場の美学を味方につけているかのような勇壮な最後を与えてくれる役どころではありません。

 物語が勘助Vs武田軍だったからかもしれませんが、こういう所を見るとやはり『今年の大河は違うなぁ。』と強く想いますね・・・。

 嘘の様な余談ですが、江戸時代の蘭学者・平賀源内は彼の子孫だそうです。
 
■武田信虎(仲代達矢)
・・・まぁ多くは前回でも語りましたが『ぁーぁ。どこまでも儂を辱める気か〜。』『皆のもの、この晴信"様"が殿軍(しんがり)を務めてくださるそうじゃぁ。』と呆れ半分蔑み半分に口走る際の表情が非常に印象深いです。・・・内心、何処かで晴信の才気を賞賛はしているのでしょうが・・・口にした言葉は侮蔑というこのもどかしさ。・・・なんて想うのは私だけでしょうか?( ;・`ω・´)


歴史痛の眼。要するに薀蓄のひけらかしとも言う。

 補足しておきますが、『殿軍』とは軍団が戦場で勝利を得ずに退却する際に戦場にとどまる部隊の事を言い、退却していく本体の背後を追撃してくる敵軍から守る役割の事を言います。

 当時の合戦というのは雑兵達の『軍団を維持して、大将達と一緒に戦わなきゃならないっていう気迫』、いわゆる士気が大きな役割を果していました。

 戦場に背後を見せて退却していく際に最も気遣わなければいけないのがこの『士気』で、逃げていく最中に敵軍から背後を襲われると、負けて落胆している分気迫がしょげている上に『真正面から敵と相対している時とは違う、後ろから敵軍に命を狙われている時のみにある背筋が凍るような恐怖』というものもありますので、案外簡単に軍団は瓦解してしまっていたのです。
 
 軍団が瓦解してしまい、取り巻くのが僅かな共の者だけになってしまうと如何に勇猛な戦国武将といえど悲惨です。落ち武者刈りに遭えば簡単に命を落とす可能性だって有りますし、普段は威張り散らして良い様に扱っていた自分の領国の農民にすら叛かれて命を落とす可能性もありました。

 1582年に羽柴秀吉と明智光秀の間で行われた天下分け目の大決戦・『山崎の合戦』でも、破れた明智光秀は羽柴軍に敗れて退却する際に部隊の士気が撃ちのめされて部隊が瓦解。

 たった十三騎の落ち武者集団になったところを農民に襲われ、その怪我が元で自害に追い込まれましたし、1582年に織田信長が武田勝頼を滅ぼした甲斐・信濃攻略戦でも、最終的には勝頼軍は士気を失って落ち武者化、

 その際には、落ち武者狩りを始めたかつての自分の領土の農民に襲われました。

 
 以上の事を踏まえると、いかに殿軍の重要性が大きいかわかると思われますが、問題なのは殿軍とは『本隊が無事な場所まで退却するまでは、死んでも戦場を離れてはいけない』ことです。

 ・・・それはそうですよね。殿軍まで負けて一緒に退却したら、そのままずるずると追撃されて大将の軍まで負けてしまいますし。・・・つまり、殿軍は『引き受けたが最後、十中八九命は無い・・散るが定めの決死隊』なわけです。



 これを引き受ける時は、その武将にとっては当に『花は桜木人は武士、咲き誇る花は散るからこそに美しいー♪』な、一世一代の晴れ舞台なのです。
■寸評…大河ドラマ見てた若者層、ブログみるような世代のどのくらいが一世風靡セピアを知っていたことだろう。そいや!!


 ・・・逆から言えば、よく考えてみなくても『絶対死ぬような決死隊に武田家の嫡男が配置されるなんて普通に考えておかしい』とも言えます。・・・有識者が、この海ノ口城攻防戦に首を傾げるのはこういった視点もあります。

・・・長すぎて収集がつかない気配がしてきましたので、今宵はここまでに・・・次回第九話『勘助討たれる』は果たしてどうなることやら・・・

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